【イザナギとタマネギ】

この世界に存在する形あるものは、すべて形ないものから生まれている。

人がつくりだしたもの、たとえば、お箸やお茶碗、靴や洋服、電車や自動車だってみんな誰かがつくりたい!という意思や想いをもったところから生まれた。

自然界にあるものはどうだろうか?

草木や花、動物や虫、鳥や人間、それらも誰かの意思によって生まれたと考えるのは不自然だろうか。

目には見えないがこの世界に存在するものを創りだした存在たちを日本では神と呼ぶ。

この地球上に存在する森羅万象を産み落としたのが、イザナギとイザナミと呼ばれる夫婦神だ。

二人のまぐわいによって森羅万象を象徴する三十五柱の神々が誕生した。

その神々が淡路島の伊弉諾神宮の旧参道にモニュメントとして並んでいる。

ぜひ機会があったらみてほしい。

モニュメントちなみにこれは特別バージョンで、イザナギ・イザナミ・ククリヒメ

さて、淡路島には伊弉諾神宮という有名な神社がある。

淡路国一之宮である。ここは伊弉諾尊を祀り、幽宮とも呼ばれる。

イザナギイザナミ

淡路島はイザナキとイザナミが最初に国生みで産み落とした島として知られるが、この神社の意義はそこではない。

かくりのみやという名前にもあらわれるように、隠れて居た場所、つまり隠居場所なのだ。

誰が?もちろん伊弉諾尊。

伊弉諾尊は妻である伊邪那美命と二人で天之瓊矛をかき回し、滴る塩からおのころ島を創りだした。おのずから転がる島、つまり自転する星、地球だ。

そこに降り立った二人は、仲睦まじく”みとのまぐわい”というものをして淡路島を皮切りに、四国・九州、佐渡などの14の島々と森羅万象を象徴する35柱の神々を産み落とした。

これが世に言う国生みと神産みである。

そして、森羅万象のひとつ、火の神様をその胎内に身ごもったイザナミはその力にやられて病に伏してそのまま帰らぬ人となってしまう。

その死を悲しむあまりイザナギは死者の世界である黄泉の国へと赴く。

そこで見たものは変わり果てたイザナミの姿。腐り果てウジがたかり雷がとぐろを巻いている。

ハタと我に返ったイザナギは黄泉の国から逃げ帰り(黄泉還り→蘇り)、水に浸かり穢れた身体を禊する。

そのとき、イザナギの服からも穢れた身体からもたくさんの神様が誕生する。

すべてが清められたとき、イザナギの顔から尊きものが溢れ出る。

左目から天照大神、右目から月読尊、鼻から素戔鳴尊という三貴子と呼ばれる日本を代表する神々たちである。

彼らの誕生はイザナギを非常に喜ばせた。彼は自分の行いを恥じていた。愛する妻のためとはいえ、自分の息子である火の神様ヒノカグツチをその手にかけて殺し、妻を求めて死者の世界へ赴き、見るなという妻との約束を破ってその変わり果てた姿を見てしまう。

その自身の穢れを清めんと水に浸かり禊をし、自らの良きも悪しきもすべてを認め、許せたときに溢れ出たものが涙。

その純粋なる涙から生まれた三貴子。尊き存在であることは疑いようがなかった。

イザナギは彼らにこの世界を任せると決める。(ちなみに、あの世界《あの世》はイザナミが担当する)

アマテラスには太陽を、ツキヨミには月を、スサノオには海を担当させた。

イザナギはそれぞれを大切に育てた。ところが末っ子のスサノオは亡き母の愛を求めた。

それを叶えることができないイザナギは苦しい想いを抱えながらスサノオを追放する。

そして、自らはこの世界を彼ら三人に任せて自分は手出しをしないことに決め、隠遁の地として妻と二人で最初に産み落とした島である淡路島を選び、海からあがってくる。

その地が今の郡家という港町にある浜の宮という社。

真西に向いたその社はまさに夕日が沈むのを日々待ち望んでいるかのよう。

この神社の大祭は4月22日。おそらく、旧暦3月22日を新暦に直したものかと思われる。

だとすれば、この日は春分。太陽が真東から昇り真西に沈む日。

この日、日が昇る場所(この世を象徴)と日が沈む場所(あの世を象徴)が一直線につながる。

イザナギがイザナミに対面できる日。

その日を待ってイザナギはより内陸(現在の伊弉諾神宮の地)にひっこんだのだろう。

海を見て黄昏れる数ヶ月。イザナミに想いを馳せながら、息子達の活躍を見守りながら。。

例大祭の4月22日には、伊弉諾神宮から神輿がきます。

イザナギさんがこの浜の宮までやってくるのです。

ここで過去の記憶を懐かしみ、原点に帰り、再び伊弉諾神宮へと帰っていくのです。

イザナギがこの淡路島を終焉の地と選び、ここから何を祈ったか。

それは、三貴子に託したこの世界が、恒久に平和であり続けますようにということではないでしょうか。

この世とあの世、暮らす世界は違えども平和を祈り続けるイザナギとイザナミの折り合う想い。

それが形になったもの。

《 た・ま・ね・ぎ 》   魂   願

淡路島ではそこらじゅうで栽培されていて甘くて柔らかくてしかもめちゃくちゃ美味しい!

タマネギはイザナギとイザナミの二人の魂の願い。土の上に半分、土の下に半分。

見える世界と見えない世界を半分こ。

二人の時空を超える愛の結晶。そう思うと、なんだかタマネギが愛おしく思えてきませんか?

たまねぎ土

p.s

浜の宮さんは、阪神大震災で社殿が壊滅的な被害を受けました。

その建て直しの御用材を提供したのが、伊勢の神宮なのだそうです。

自立を願い、手を出さずに信じて見守った子供アマテラスが年月を経て成長し、父のピンチに屋敷を修復した。

神話だけど、今に通じる。

これが生きる神話を体感する世界。

偶然かもしれませんが、ちょっと面白いとは思いませんか^^

“【イザナギとタマネギ】” への2件の返信

  1. イザナギとタマネギ
    大変興味深く読ませて戴きました
    4月22日は大祭との事 私の誕生日です
    宮崎におられます 大和紫雲宮司様に
    いろいろ観て頂いたのですが
    守護神はイザナギノミコトと書かれておりました。
    この様な事が一つに繋がると とても嬉しい事です
    貴重なお話し ありがとうございました

    1. 返信遅くなり申し訳ありません。
      ブログはあまり使いこなしておらぬもので。
      コメント大変うれしいです。
      4月22日が誕生日で、イザナギさまが守護神とのこと。
      ご縁ありますね。
      こうやってリアクションをいただくと、書いてよかったと心から思えます。
      ありがとうございます。

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